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銀杏BOYZ「せんそうはんたいツアー」1/15@zepp osaka

2008年02月12日

「体はボロボロだけど、気持ちを込めて歌いますので」

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1人1人のお客さんの顔を見つめるように客席をくまなく見回しながらそう言い放ち、ゆっくりとギターのイントロが始まった。

『夜王子と月の姫』
大好きな曲なのに、頭がぼーっとし過ぎて、現実についていけなくてあまり覚えていない。
ただ覚えているのは信じられないほどの大歓声と驚くほどの鳥肌が立っていた自身の二本の腕。

銀杏BOYZ 初の完全ワンマンツアー「せんそうはんたいツアー」大阪公演が始まった。ついに始まった。

ドキドキして眠れなかった昨日からあっと言う間に時間が経って、私は今zepp osakaに居る。

本当にこの日がきたんだ という夢の中に居るような気持ちと、しっかり目に焼き付けなければ、という思いの狭間でゆらゆらしていた私を現実に引き戻したのは、1曲目が終わった瞬間、服を脱ぎ捨てた峯田だった。

くるぞくるぞくるぞ。
銀杏の"攻め”の部分。こちらはいつでも受け入れ態勢はできている。

『若者たち』が始まる。
まだ始まったばかりなのに、ライブ後半のような熱気がムンムンする。
ぞくぞくする。これが観たかったんだ!客席にダイブする村井に更にテンションは振り切った!
急激に走り出したステージに脈が上がり鼓動がおかしくなりそう。
『駆け抜けて性春』『SEXTEEN』『リビドー』
たった5曲の演奏で、頭がヘンにそうな位、自分もステージも客席もぐちゃぐちゃになっていた。

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「どうも大阪の皆様、銀杏BOYZです。」
MCに入る頃にはもうクタクタ。峯田の言葉を1つ漏らさず聞きたい。
今日は1/15。2003年にGOING STEADYが解散して、銀杏BOYZが結成された記念日。
そして今日で丸5年。
「大阪まで来たよ。ちゃんと。」
「俺らが書いた曲を聴きに来てくれることほど嬉しいことはないべ。ほんとにありがとうさま」

いっつもいっつもありがとうさまって。ありがとうさま言いたいのはこっちだよ。

この後赤裸々に語られたのは中学生の時の先生との情事。
話に客席は大興奮。この人、やっぱり経験値が異常だ。


そんなこんなの興奮最中、『あの娘は綾波レイが好き』
そして待望の新曲『じゃんくBOY じゃんくGIRL』へ。

『じゃんくBOY じゃんくGIRL』歌詞がもう…ニヤニヤする。
変則的なリズムとノリの良い曲、そして銀杏特有のエロを可愛らしく、どストレートに表現した歌。
でもほんわかなるのはなんでだろう。銀杏だからです。

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『SKOOL KILL』ではお決まり、マイクに頭をガンガンぶつけ、
『日本発狂』ではチンくんがスピーカーに登り、峯田はズボンをずらし、村井はまたもや客席にダイブ!客席に飛び込みもみくちゃになりながらも歌う峯田の姿は正に発狂。
そのまま『トラッシュ』『もしも君が泣くならば』で大爆発。

このまま一生終わらなかったらいいのに。誰にも止めて欲しくない。ドキドキがおさまらない。
体中で銀杏BOYZという音楽を受けとめ、そしてそのパワーを客席からも全力ではじき返す。
こんなにものすごいパワーがぶつかり合うライブなんて観た事ない!

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そしてヘトヘトと座り込む峯田を見て、本当にこの人達は手加減無しで全力で挑んでいるんだなと思った。
骨が折れることより1本のライブを終わらせることの方がよっぽど大切なんだろうな。


そして次の歌う曲に込められた、別れた彼女とのエピソードを語る。
体の弱かった彼女が沖縄の海を見たいと話し、そのことを思って作ったという。
そうか、そんなことがあったんだ。この曲のバックヤードを初めて知った。

始まった瞬間。目の前に晴天とキラキラまぶしい沖縄の真っ青な海が広がる。
「この夢叶うならば」という歌詞がリアルに突き刺さる。
たった一人のことを思って歌った歌。なのにとっても感情移入しちゃうのはなぜだろう。
いつもと違う『夢で逢えたら』。切なかった。

『YOU & I VS. THE WORLD』になると脇腹を押さえながらマイクを大切に、アイドル歌手のように両手で握りしめてまっすぐ上を見て歌う峯田の姿が痛々しかった。体は大丈夫なんだろうか。
一瞬思うが、それよりも澄んだ目で一生懸命演奏する姿に吸い込まれそうになった。
すごい。どんどん引き込んでくれ!!

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倒れそうになる峯田をよそに着々と転換が進む。
いつもと様子が違う。全員が前に出てきて椅子に座った。
アコースティック?!
アコギ2本と小さな太鼓、そしてタンバリン。
一気に会場の温度が「アツイ」から「温かい」に変化した。
声を張り上げながら一生懸命に全員が順番に歌う『なんとなく僕たちは大人になるんだ』
なんて素敵なんだろう。明日は何かいいことがありそうな気がしてきた。

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この曲に入る前にチヒロちゃんの話は何度となく聞いてきたけれど、話の途中で言葉に詰まって曲に入っていくのは初めて観た。何だかたまらなかった。
オレンジの光に照らされて動けない峯田、そして淡々と演奏する3人の姿があまりにも美しかった。『東北新幹線はチヒロちゃんを乗せて』
チヒロちゃん。どんな子だったんだろう。

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この優しい空気を一切壊す事なく、私たちは宇宙にタイムスリップした。
『銀河鉄道の夜』
キラキラと回るミラーボールと無数に浮かぶ星空のような照明。それは紛れもない銀河だった。
間奏でのチンくんのギターの鳴き声が余りにも美しくてに泣きそうになる。いや、泣いていたかもしれない。
目をつぶって1つ1つの音をなぞる。
あの瞬間、ここに居る全員、あなた達4人が創り出した素晴らしい世界が観えたんだよ。

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その余韻に浸る隙すら与えず打破するように『あいどんわなだい』へーー。
こんなにも幅広いメリとハリのくっきりした曲なのにどっちも好きなんだよなー。
全く真逆の曲だからこそ、その温度差に一気にまた客席が沸点に達す。ピンクの照明が峯田の可愛く歌う「♪恋の呪文〜」の甘さを手伝う。
この曲の見所の1つは間違いなくコミカルさ炸裂のチンくんだろう。かわいすぎる。
サビの「YES!YES!」では見たこともないような気持ち悪いほどの数の拳が音に合わせて動めく。
ほんとにいい曲だー。
メーターは振り切ったまま『BABY BABY』へ。本人たちもテンションが上がり過ぎたのかなぜか2度の演奏。何で2回演奏したかなんてどうでもいい。とにかくもう誰にも止められない。
このくだり、たまらない!!!!!

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『NO FUTURE NO CRY』の頃にはどうしようもなかった。
もうどうなってもいい。何でもいい。ぐちゃぐちゃで何がどうなってどうにかなってもいい。
そう思えるくらい、全てがどうでもよく思えるくらい、自分を捨てきれる瞬間だった。
マイクスタンドを空高く投げつけた峯田を筆頭に、全員が取り憑かれたように暴れ出す。
客席に飛び込み、楽器を入れ替えて思い思いに音をかき鳴らし、そして曲が終わる頃にはステージも客席も、もうボロボロだった。
なぜ……こんなにクタクタなのにまだ観たい。
立つだけのための膝と足の裏が限界を越えた。

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ようやく落ち着いてから、ガラガラ声になりながらも新曲『ベロチュー』『光』が始まる。
さっきまでの存在感とは裏腹に、その姿が何だかとっても儚くて、居なくなってしまうんじゃないか、という不安を感じた。
そんな峯田からのメッセージは「何やっても死ぬな」という言葉。
逆に死なないで、って思ったよ。そんなに自分を壊してまで、ライブに挑む姿が折れそうで。


「また会いましょう。銀杏BOYZでした」の言葉を聞いて、本当に終わるんだ、と思った。急に悲しくなって涙が出そうだった。
『僕たちは世界を変えることができない』でメンバー紹介を聞きながら気が遠くなっていった。
またしても涙が伝っていたかもしれない。


彼らが去った後には「やるなら今しかねえべ」がこだました。
客席も一切手を抜かない。4人をとにかく待っていた。まだ観たいよ。


アンコールに登場した峯田は「こんな痛い思いしてライブしたのは初めて。一生忘れない。」と語った。そう言って演奏された「ナイトライダー」を聴きながら、こんなライブ一生忘れられるもんか、と思った。
銀杏BOYZによって一人一人の世界は変えられたし、
こんな生死を賭けたライブをやってのけるバンドが居ることに未来はすごくあると思ったし、
目の前の現実をしっかりと目の当たりにしたし、
とにかく今までに感じたことのない疲労感とそれに相反する高揚感、充実感でこんなにも素晴らしい時間を過ごせた自分はなんて幸せなんだろうと思った。

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「ありがとうございました」
アバラに巻いたさらしが取れたのが武士のように痛い。
なのにピースをして去っていった姿は弱々しくもしっかりしていて。

こんなすごいライブ観られなくなるんならせんそうなんか反対だ。
それだけの理由だけど。銀杏のライブが一生観られなくなるなら反対だ。


来て良かった。生きてて良かった。


記憶の1つ1つに今日のことをしっかり刻み込んで帰った。
あれから1ヶ月経った今でも頭の中ではあの日が何度も再現されている。


text by
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photo by
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