らいぶれぽーと
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アニメ「けいおん!」の主人公たちが通う高校のモデルではないかと言われている滋賀の豊郷小学校旧校舎 講堂で催されたイベント…、その名もズバリ!「 - 聖地じゅんれい! -」。the band apartのベースである原昌和が「けいおん!」ファンであり、呑みの席での話から何と実現にまで至ったという素敵な企画である! 校内の常設展示や、「けいおん!」をイメージした服装で販売される飲食の屋台など、雰囲気は文化祭。上履きに履き替え、ちゃんと講堂の木製長椅子に座り、ライブを楽しむ姿は、ここでしか観れない風景。ライブとライブの合間では、まるで休み時間のように常設展示や屋台に観客は駆け込んでいた。校則を守るかのように、しっかりお行儀良くイベントに参加している姿が微笑ましい。イベントに参加しているのではなく、コスプレをして普通に聖地巡礼をしている「けいおん!」ファンも校庭には見かけられ、日常とはかけ離れた不思議ではあるが穏やかな空気が終始流れていた。
タイムテーブルは全て”限目”で表され、0限目では、その原とthe band apart のドラムである木暮栄一、FRONTIER BACK YARDのギターであるKENZI MASUBUCHIを従え、DJサオリリスがボーカルというバンドがシークレットで登場。「U&I」と「ふわふわ時間」が披露されると、大盛り上がりに。
続く”限目”でも、個性的なバンドが登場。公募で選ばれたオープニングアクトのScenarioartが激しくも幻想的な世界を見せる。舞台左端に佇む白いシャツに赤いスカート姿のボーカルの大胡田なつきが印象的だったパスピエ。キュートな歌声が講堂に響き渡る。「若干、色違いやけどな!」というMCで笑わせた志磨参兄弟は、ターンテーブルに三味線までもが合わさり、ヒップホップやレゲエを基調とした音を披露。制服コスプレで舞台に走りこんできたtricotは、「けいおん!」のモノマネ(!?)を交えながら、舞台狭しと暴れまわりながら轟音で観客を圧倒する。お盆という事もあり大渋滞に巻き込まれ、14時間かかって、出番ギリギリに到着したニルギリス。そんな疲れを微塵も感じさせないマッシュアップを駆使したナンバーで、大いに場内を沸かせる。
先ほど既に出演のサオリリスも本業のDJとして、本領を発揮する! アニメファンの凄みを、ペンライトや掛け声を交えての踊りで見せ付けられる…。
トリ前となるFRONTIER BACK YARDでは登場前から、観客が総立ちで待つ。1曲目「WONDERFUL WORLD」からドラムのビートが気持ちよく、2台のシンセサイザーが鳴り響く。ボーカルのTGMXの声も艶やかで、講堂の天井に吸い込まれていく。KENZIの「あの子たちも、こんな気持ちでやってたのかなって思うと、ウルっときました!」という愛あるMCには、観客も拍手を! ラストは「POP OF D.」で。8曲を全力で疾走してくれた。
そして、トリのthe band apart。1曲目「Eric. W」から徐々に熱を帯びていくようなベース、全体のグルーヴが凄まじく、講堂という特殊の場所でライブをやっている事を思わず忘れてしまう。原はMCで、「この校舎に休みを利用して前に来たんですけど、すんげーかっこいい建物で、また来ようと思っていたんだよ。でもライブをするとは…、職権乱用っつーうか!」と喋り、場内は爆笑! 最後、原は笑顔で「夜の校庭って、凄く興奮しますよね」とまた笑わせ、アンコール「星に願いを」で終了。「また、来年も来たい!」と思わせてくれた新しい夏の風物詩が始まったような気がした1日。

文:鈴木淳史  写真:YukiHide"JON…"Takimoto